渓流の女王 ヤマメ

ヤマメとは

ヤマメは「渓流の女王」ともいわれる高級魚で、美しい流線型の魚形とパーマークと呼ばれる斑紋が特徴的です。また、サケ科の魚で海に下るとサクラマスとなり渓流の清らかで冷たい岩清水で育つ美味な魚として有名です。

自然界のヤマメは肉食(動物食)で、水生昆虫や落下昆虫を食性としています。そのため、保水力のあるみどり豊かな森があり、枯れることの無い清らかな水の流れは不可欠な生育条件なのです。

また、その環境で主食となる水生昆虫が豊富にいないとヤマメは生きていけません。つまりヤマメが養殖できるということは背景にある自然が豊かな証拠なのです。

宮崎県立鰐塚山系の深い緑の山々に囲まれた美しい渓流の流れで育まれたヤマメは、「渓流の女王」の名にふさわしい美しい魚形を持ち、森の恵みによる美味さを我々にもたらします。

絶品の味 ヤマメ

ヤマメは生育環境にあう場所が少なく養殖が難しい為山間部の観光地では高級食材として使用されています。 数が少なく市場に出回らないため一般的にはスーパーやデパートに並ぶ事は少ない魚です。魚肉はサイズが大きくなるとサーモンピンクとなり、炭火で焼く塩焼きは絶品。肉質はサケに近く初めて食べると、その美味しさで川魚の概念が変わる程です。

癖のない味はご家庭でも簡単に調理してお楽しみいただけます。

また、「黄金イクラ」や「ヤマメのうるか」などの珍味は他では手に入らない貴重品です。由布院の高級旅館や佐賀県の唐津にある有名店の「飴源」でも使われている高級感あふれる珍味です。甘露煮・昆布巻で伝統的な高級日本料理の味が簡単に楽しめます。

養殖ヤマメと天然ヤマメ

緑豊かな渓谷で釣ったヤマメを食べるのは、美味しい上に替えがたい嬉しさがあります。雄大なそして厳しい自然で育ったヤマメは素晴しい味です。その魅力はなんといっても「自然な味」でしょう。

そんな天然ヤマメと比べると養殖ヤマメは、餌のやりすぎで脂がギトギトしているなど「人工的な味」のイメージがあるのではないでしょうか。確かに100%自然の中ではないので、天然ヤマメを育てることはできません。ただ、環境を近づける努力はできます。天然ヤマメの生食には寄生虫の心配もありますが、餌の管理されている養殖のヤマメは安心です。餌は豊富ですので、天然ヤマメに比べれば、脂がのっていますが、決してしつこい脂っこさではありません。適正に管理された養殖ヤマメは、安心、安全で美味しい食材です。

我々、スタッフも天然ヤマメに負けない美味しい養殖ヤマメをお客様に届けられるよう努力して参ります。 天然ヤマメの味は素晴しいものです。しかし、養殖ヤマメも美味しい食材です。天然とは違った味わいがあります。 毎年、弊社イベントなどで塩焼き、お刺身を召上られたお客様から「美味しい」とご感想を頂いております。養殖のヤマメも自信を持ってオススメすることができます。

「養殖」と聞くと構えてしまうお客様もぜひ、一度お試し下さい。

ヤマメ養殖場

池辺ヤマメ養殖場のヤマメは2度も天皇陛下への食事に供された献上品です。 宮崎国体で昭和天皇へ、全国植樹祭で天皇陛下へのお食事に提供されました。

しゃくなげの森、園内にある養殖場は1972年昭和47年に誕生しました。当時、この辺りには天然のヤマメが渦巻くほど泳いでいましたので、ヤマメ釣りの名人と言われた創業者は、一日に100尾程のヤマメを釣り上げて、それを池に放ち、増やして現在の養殖場に至っています。

ヤマメをいかに傷つけずに再び池に放つか。どの様にすればこの繊細な魚を、元気な状態でたもてるのか。創業者は毎日、川に向かい、ヤマメと向き合い続けました。そしてヤマメの口先に針をかけて釣り上げ、竿先の動きだけで手を触れること無く針からヤマメをはずす術・かぶか釣りを取得し、理想の状態でヤマメを持ち帰る事ができるようになりました。

ヤマメの生涯

しゃくなげの森の養魚場では採卵から二年生の親魚(尺ヤマメ)に育成するまでの一貫した養殖を行っています。

晩秋に親魚より卵を取り出し、人工授精を行います。

卵の成長は各地域の水温により異なりますが、当養殖場では約15日で卵の中に目が発生した状態である発眼卵になります。
孵化が近くなると中の稚魚がぐるぐるっと動きます。

採卵より約30日経つと孵化し、大きくて重たい臍嚢(さいのう)をさげた稚魚が誕生します。栄養をぎっしり詰め込んだお腹が重いため、しばらくは水底に沈み、泳ぐのもままならない状態ですが、お腹の袋の栄養を吸収して成長していきます。栄養を吸収し尽した後、浮上して泳ぎ回るようになります。

孵化後約30日、餌やりの開始。餌というものがどのような物で、水面の上より降ってくるという事を覚え込ませるために、一時間毎に稚魚池に餌を与え続けます。 餌を覚えたら後の成長は経験が頼り。水温や環境、生育の度合いにより餌の量と回数、水量までも調節します。

こうして無事に60~150グラムにまで成長したものが、九州圏内に幅広く出荷されます。

尺ヤマメ

その後も日々すくすくと成長し、誕生して二年目の晩秋に産卵期を迎えます。

人間ひとりひとりの体格が違うように、ヤマメの成長も様々です。2年目の産卵期を迎えても15センチほどしかない小型のものもいれば、60センチにちかいヤマメとは思えないくらい迫力ある姿に成長するものもあります。

成熟期を向かえ卵が万全の状態になったら、再び世代を受け継ぐ採卵を行います。