深夜の検卵

昨日は孤独のグルメ、今日は孤独な作業。
ただ今、午前2時半過ぎ。
深夜の検卵
深夜の検卵

今朝の旅サラダ全国放送で、会社はてんやわんやの大騒ぎ。

おまけに遠く鹿児島や、熊本から来られるお客様も^_^;
現在、しゃくなげの森は閉園中で、レストランも改装のため閉まっています。遠くから黄金イクラ丼を楽しみに来られたお客様に大変申し訳なかったです。

しかも、こんな時間に余裕のないときに限って、遠くから商談に来られるという、神さまの優しい試練(≧∇≦)

そんな感じだったために、ヤマメの発眼卵の検卵作業が思うように進まず、こんな時間に孤独な作業。
生産者はその命に合わせて情熱を傾けます。自らの仕事をリスペクトしているからこそ頑張れます。

いま、水音だけが響く深遠な雰囲気で、ヤマメの命と向き合っています。死卵をピンセットで一個づつ拾うという先が見えない地道な作業。
なぜ、こんなに頑張らないといけないか?

検卵はヤマメの命の時間に合わせての作業なのです。人工授精から約14日に卵に目が入ります。これを発眼卵といい、ここから約7日間は衝撃に強いため、その間に検卵作業して配送までおこないます。到着までを逆算すると検卵が3〜4日の猶予しかありません。しゃくなげの森では総計で200万粒、多いグループは30万粒ほどあり受精率90%だと3万粒拾うことになります。時間に追われる気が遠くなる作業が続きます。

そして、しゃくなげの森は日本最南端のヤマメ養殖場。そのため、採卵シーズンが遅く最後に採ることになります。水温が下がるのが早い北海道では、採卵は9月中旬ですが、南のしゃくなげの森では10月末から11月下旬です。

養殖場によっては人工授精に失敗したり、断水などのアクシデントで、私のところに注文が来ます。もちろん受精技術がないところは、しゃくなげの森を頼りにしてくださっています。北海道や東北、本州にも送ります。
つまり、最後の砦であり、頼みの綱なのです。ですからヤマメの命の時間と真摯に向き合うと同時に、今か今かと待ち望んでいるお客様のために頑張ります。

因果応報で、善きことは巡ってくると信じています。自然界を相手にしているので立ち尽くすような試練もありますが、歯をくいしばってもがきます。どんなことも、八百万の神の戯れ事だと、自分に言い聞かせ、諦めずにもがいていると、必ず突破口が開けますし、手を差し伸べてくれてるような出来事もあります。
そして最後には「美味しいね!」という私たち生産者にとってこの上ない有り難い言葉と笑顔をいただくことにつながります。

「おっと、休憩しすぎた」もう少し頑張ったら、少しだけ身体を休めて明日も(今日も)頑張ろう。(^_^)